
「AERA Mook」の「学問がわかる。」シリーズの一冊で、これから政治学を学ぼうとする初学者のために政治学全体の俯瞰図を示す本である。ちなみに、現在は若干増補された「新・政治学がわかる」が書店に並んでいる。
「政治学はサイエンスだ。」と見開きに大きく書かれているが、本書で取り扱っているのは、「政治行動論」のように科学志向の強いものから「政治思想史」のような伝統的政治学まで、とにかく幅広い。「政治理論」「比較政治学」「外交史」といった学問分野について、それぞれを専門にしている大学教授が初学者向けにわかりやすく説明しており、学ぶというよりはエッセイを読むという感じかもしれない。
政治学におけるこのような「ジャンル分け」を前面に出した本は意外に少ない。その意味では、自分が学んでいることの政治学的な意味合いを知りたいときに役に立つし、政治系学部の学生なら大学のゼミ選びの際にも重宝するはずだ。
また、「古くて新しい問題群」では民主主義、権力論のような政治哲学の、「現代日本政治の問題群」ではポスト55年体制や無党派層といった現代日本政治のキーワードを解説しており、政治学の基礎知識の参考書としても使えるかもしれない。だが、本書はあくまでも参考書であって、入門書や概説書ではない。更なるステップを目指すなら、阿部齊執筆のコラム「初歩から取り組む50冊」を参考にすればいいだろう。
他にも数多くのコラムがあるが、特筆すべきは佐々木毅が執筆した「政治学への誘い」である。政治と政治学の違い、現実の政治に対する政治学の果たすべき役割、そのための多彩なアプローチの提示など、本書のエッセンスが冒頭のわずか三ページに凝縮されている。
本書の執筆者はなんと57人にもわたっている。そのため、さもすれば偏りがちな政治学談義が比較的中庸に保たれている一方で、ひとつのテーマについて相当浅くしか扱っておらず、たとえ初学者でも政治学を本格的に勉強したいという人には物足りなく感じるだろう。同様の理由で、例えば、「政策」「公共政策学」「政策行政学」と分類されているのだが、それぞれの説明が浅いために特徴が見えにくく、かえって混乱させてしまっている感がある。
だが、それもまた、体系というものが存在しにくい政治学の現状を表していると思えば、興味深い。